皆々様、ヴィー/ナ/ス & ブ/レ/イ/ブ/スというゲームをご存知でしょうか。
私は好きです。(質問と答えが違う!?)
好きなんです!
というわけで、何度か行ってきた好きなもの×好きなもの……なのですが。
…全然スクツナになりきっておりません。
きちんと文章にする勇気もなかったものですから(恐ろしく長くなる)荒い荒い箇条書きにも近い描写でお送りします、し…。
というより、無理です。あの素晴らしい世界観と文章を真似るなんて…無理。
元々が小説を読むようなRPGですので、組みなおす勇気と根性が…私には足りませんでした。
それでも!書いちゃったしもったいないからここでだけそっと置いてみようと思います。
主人公は、不老不死の剣士で、世界がぶっこわれるよーという予言を回避するためにえんやこら!と必死で魔物を倒していきます。100年間ほど。
その中で色んな人と出会って、仲間になったり、敵対したり、助け合ったり、お別れしたり、死んでいってしまうのを見送ったり、と色々あるのですよ100年ほど…!
恋愛も、あったり、ね!
予言を携えてきた女神様が……これまたなんというか、これぞツンデレというような御方といいますか…。
当時ツンデレなんて言葉を知らなかったものですから「何この人序盤と中身が違う!」とキュンキュンしたものです…ってそんなことはどうでもいいですね。
というわけでV&Bパロです。パロといいつつ、設定ばかりをひっぱってきて、話の流れは丸無視に近いのでV&Bファンの御方はご覧いただかない方が…よいかもしれません。すみません。
スクツナのつもりですが、全然スクツナではありません。
序盤の序盤しか書ききれなかったものですから…orz
加えて人格はほぼ完全崩壊です!
原作の人間関係とかも完全無視状態です。
無節操ですみません!
それでもご興味もっていただける方は「つづき」からご覧いただけますと幸いです!
追記
長いので分けてみました。
それは目も眩むような月明かりの中。
意識も暗むような黒血の網の中。
滴る剣先の返り血も弾けぬままに立ち尽くしながら。
俺は。
己の身体に死が染み付いていくのを、呆然と噛み締めていた。
V&B ~神と魔術と滅びの予言
曖昧な夢を見た。
夢とはそもそも目覚めた者にとっては曖昧なものだというのに、その最たる位置に存在するかのような曖昧さ加減を伴っていた。
覚えている。
どんなものを見たのかは。
朧げに。
儚げに。
300年前。
己に降りかかった災厄と救済。
その代償と責務。
帰らざる麗しの甘美な過去。
だが………己に残されている記憶は酷く、酷く薄れて、曖昧で。
「…気分悪ぃ………」
妙にもったりと脳に絡みつく眠気を振り払うかのように髪を掻き上げながら、彼はゆっくりと身体を起こした。
滑り落ちるシーツの感触に視線を下げれば、嫌に青白い肌が目に付く。
力無くストン、と落ちた腕もまた白く。
「今更、か」
裸木だけでくみ上げられた、山小屋と見まごう様相。
窓辺にいつの間にか飾られ始めた花だけが彩りを見せる空間。
必要最低限の家具だけで形作られた室内で、誰に掬い上げられるわけでもない呟きが零され、拡散した。
「よっ!スクアーロ!相変わらず陰気な顔してやがるなぁ!」
「うるせえ!てめえに言われてたまるかぁ!」
「おやおや団長さん、今日はどちらにお出かけ?またでっかい蜥蜴でも仕留めてくるのかい?」
「あれは蜥蜴じゃなくて、魔物の一種だっつってんだろぉ!耄碌してんじゃねえぞババア!」
「まーた寝坊?スクアーロ!あんた、この山賊団の団長なんでしょ!もうちょっと自覚を持って行動を――」
「時計塔の異常とやらを調べてたせいで月が沈むまで帰れなかったんだぞぉ!ちょっとは労わりやがれぇ!」
「で?結局異常ってなんだったの?」
「でけえネズミが潜り込んでただけだ」
「さすが団長!退治してくれたんだねー!」
「う゛お゛ぉい!馬鹿にしてんじゃねえぞぉ!」
「馬鹿になんてしてませんよー」
華やかな応酬はこの街では見慣れたもの。
スペルビ・スクアーロ率いる山賊団は、街の自警団も兼ねていた。
山賊、とはいえ物盗りの類ではなく、山を荒らし、街を脅かす魔物やならず者を始末するのが仕事であり、目的なのだ。
ただし、平和の空気が蔓延するこの街では、彼らに対するありがたみなど皆無で。
「ほらごく潰しども!今日の分け前だよ!しっかり食べていつか来る敵とやらから街を守っとくれ」
ドン、と置かれた食料は彼ら山賊団を雇ってくれている市長からの報酬。
もしものため。万が一の頼みの綱。掛け値の高い保険。
いつ来るかわからない『いつか』のための用心棒として、山賊団は養われていた。
日々、鍛錬と訓練を重ね、街の住民たちの明日を守るために。
「ねえ団長、お昼はサンドイッチでいい?野菜とハムをもらったんだ!」
「好きにしろ」
ヒラヒラと手を振りながらスクアーロは賑わう山賊団本拠地…もとい、スクアーロの家の庭を後にした。
小高い丘の上、街を見下ろすような場所に建てられたスクアーロの家は、二棟の小屋で成り立っている。
ひとつは小さな、山小屋と思しき建物。スクアーロが生活する小さな家。
もうひとつは……。
「ったく…朝から騒々しいガキどもだぜぇ……」
山賊団のメンバー、スクアーロが拾って育てた孤児らが住む、スクアーロの山小屋よりも倍ほど大きな家。
拾った子が育ち、その子がまた子を拾い、育て、を繰り返すうちに段々肥大していった団員の数。
もちろん自立し、去っていった子らもいるが、来るもの拒まず去るもの追わずを貫くスクアーロの元には老若男女を問わない人員が揃っていた。
とはいえ、その人力も活かされることなど皆無に等しく…。
「何が起こるでもないんだがなぁ…」
左腕に括りつけた刃をトン、と肩に預けながらスクアーロは横目に街を見下ろした。
……かつての戦乱も忘れ、穏やかに生きていく人々。
出会い、成長し、戦い、苦しみ、そして死んでいく。
当たり前の生を生きる人間達。
「…どんなに年月を経ても…いまだに割り切れねえってのは俺が女々しい証拠、かぁ?」
ク、と眉間に皺を寄せながら自嘲としかいえぬ笑みを湛え、鍛錬の為に森の奥へとスクアーロは足先を向けるのだった。
重なり合う緑の葉たちにろ過され、和らいだ日差しが降り注ぐ泉には、先客も来客もない。
招かれるとすれば囁くようなさえずりを響かせる小鳥たちくらいなもので、山賊団のメンバーであろうとも立ち入る者はいなかった。
コポリと湧き出す泉。
そこに臆することもなく、服を身に纏ったままスクアーロは足先を沈めた。
ツンと肌に突き刺さるような冷たさが神経を研ぎ澄ます。
足首まで浸る位置で剣を構えながら、水面に波紋を生まぬままに剣を振るう。
風のざわめき。
木々の囁き。
沸き出でる水の息吹。
周囲を丸く木々で覆われた水のステージで、空気だけを切り取るスクアーロの剣は日々こうして磨かれる。
同じように、毎日繰り返される所作。
幾年も、幾十年も繰り返されるたゆまぬ努力。
なんのために。
なんのために、俺は、こうして――。
自問の声に応える者はいない。
応えられる存在など。
そうして己の意識の深層へと落ちていくスクアーロは一際強く刃を振り上げた。
その、瞬間。
「スペルビ・スクアーロ」
ぞくりと背筋を這い上がる悪寒。
気配など、微塵も感じなかったのに。
かっと見開いた眼で振り返れば、涼やかな声音を発した主は眼前に。
弧を描いて己の銀糸が煌く。
視界の端を遮るそれが己の背へと準じた時――。
「スペルビ・スクアーロ」
再度呼ぶ、甲高い声。
フードで顔を隠し、マントで身を包んだその人物は、やけに豪奢な本を片手に立っていた。
尋常ならざるその姿。
水面に立つ、小柄な人間。
「……貴様、何者だ」
自分の名前を知っているようだが、スクアーロからすればこのような人物に心当たりはなかった。
頭ひとつ分低い体躯。
だがここまでひょろっこく、すっぽりと全身を覆い隠す服装、なにより水の上に平然と立って見せる子供など知らない。
「急いでください」
「なに?」
スクアーロの問いを無視し、その人物は身体ごと腕を大きく開いた。
スッと上げられた指先が差し向けられた方向には街がある。
「月の年。火の年。
岩の塚に腐った蝙蝠がとりつくだろう。
そして火の年。
南に目覚めし黒き無限の災、岩の塚を打ち砕き、やがて南の全ての地を赤く染めるだろう」
「なに、を…」
「迷っている暇などないのです。早く、街へ戻りなさい」
早く、早く。
繰り返される言葉に、指し示される南。
急かすばかりの口調。
だがそれだけで、何を信じろというのか。
街へ急げ?なんのために。
先ほどの難解な言葉を紐解けとでもいうのか。
否、その暇さえ与えようとはしないではないか。
何ゆえに従わなければならない。
何ゆえ俺に命じる。
何ゆえに。
「貴様の言葉を鵜呑みにしてやるほど俺はお人よしじゃない」
「………そうですか」
反論なら受けてたってやろうと身構えていた俺に突きつけられたのは…やけにあっさりとした『放棄』だった。
「っ……」
面食らうしかない俺は、言葉を詰まらせるしかなく。
「――団長!」
俺を呼ぶ別の名に意識を瞬時にさらわれた。
「団長!街が!街の入り口に、魔物、が!」
「魔物、だと?」
息を切らせて駆けつけたガキに促され街の方へと視線を向ければ、木々に遮られながらも立ち上る一筋の黒煙が視界の中心にそびえたった。
「今みんなが応戦してます!だから、団長も、早く!」
「あ、ああ…!」
俺を呼ぶ蒼白の顔にすぐさま応じた俺の声とは別に、身体と意識は髪を翻して背後へと向き直った。
静寂を装っていた水面に波紋が広がる。
ひとつは俺の右足から。
ひとつは俺の左足から。
そして…。
ピチョン、と。
俺の波紋に対抗するかのように、重なる円を広げて。
姿なき、一滴。
奴の姿はとうに消えうせ、広がる波紋だけが奴がそこにいたのだと主張する証明となっていた。
つづく
PR