金剛堂日記
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 この更新頻度はあんまりだ!と両手で顔を覆いながら…いや、キーボード叩いてるから今は覆ってないのですが…お久しぶりです金居です! 「………」
どうしよう。 その一言に尽きる。 青い果実のとまどい 爽やかな中にぬくもりを宿す秋の日差しは、満腹中枢が大いに満足しきっている午後一番の授業とタッグを組むと最強の刺客となる。 だってしょうがないじゃない。 穏やかな午後の気温は眠気を呼ぶのに申し分ない好条件なのだから。 加えて歴史だよ? 世界史だよ? 歴代教皇の覚え方とか教えられてもこんな眠気にとって都合のいい状況じゃ、呪文か念仏にしか聞こえないに決まってる。 だから、だ。 天変地異の前触れかと思うほど偶然にもばっちり起きていたスクの隣で、こっそり舟を漕いだってそれは必然でしかないわけだ。 ね? ……うん、悪いことだっていうのはわかってるんだけどさ…。 加えて、いつもノートを見せてばかりの俺に代わって、スクがずっと起きててくれたから若干の心の緩みも生まれてしまったわけで。 ――あ、もしかして、俺が寝たからかな? だから起きてたのかな。 普段は死んだのかと見紛うほどにぴくりとも動かず机につっぷしているというのに。 瞼が落ちる直前に垣間見た隣のスクアーロはいかにも「かったるい」といった表情ではあったけれど、しっかりと目を開けて、上体を起こしていたのだから。 だとしたら……いや、いつも俺が寝てたらスクが真面目に授業を、なんて考えは浅はかだ。 睡眠学習を地でいくスクに対して、日々あっぷあっぷの俺が痛い目を見るだけに決まってる。 理不尽反対。 そんなこんなで、薄っすら涎のあとが残る白紙のノートを前に口端を引きつらせていた俺の眼前へ、ずい、とスクがノートを突きつけてきた時は何事かと思ったわけです。 書いてないですけど!? まさか写すだけに飽き足らず、ついに俺に書けということですか!? と若干オロオロしていた俺へ「暇つぶしに書いてやっただけだぁ」とぶっきらぼうを装って顔を背けたスクを前に涙が零れる想いでいっぱいになったのがほんの五分ほど前。 そして――。 「……悪くはない。悪くはないんだけど…」 今俺は、大いに悩んでおります。 自分の机でピタリと固まった俺を尻目に、当の本人は机へと手を突いて立ったまま、ふわぁとあくびをしてみせた。 ……。 薄青い表紙をめくった先、スクアーロのノート。 彼が書く字を見たことは何度かあった。 とても流麗な模範に近い文字はノートや手紙やサインなど、読み返すものや大切なものを記す時用の字。 言動や行動が荒っぽいのに、そういうところがきちっとしていて、ギャップがなんだか微笑ましくも様になっているなーなどと考えていたのだ。 ……が。 これは、どう捉えればいいのだろう。 なんということはない。 文字はいつもの流れるようなイタリア語が楽譜をなぞるかのように規則正しく音を綴っていた。 けれど、その、端々。 うさぎ。 ねこ。 いぬ。 …これは…くま? なんだか懐かしいような可愛らしいイラストが所々に描かれて、いる。 吹き出し付きで、要点を解説しながら。 それは、まあ、百歩譲って、なんでもないこととしよう。受け入れようとも。 だが。 「スク、これは…」 「それはニワトリだな」 ごめん、俺コレくじらかと思った。 「うさぎ、ねこ、いぬ…くま?」 「…ねずみ、うま、さる、ウーパールーパー」 なんでウーパールーパー描くのさ!! ひとつずつ指差しながら予想を口に出してみれば、ひとつも当たりやしない。 壊滅的。いや、独創的? もう、良いように言うのも難しいほどに……スクは絵がへたくそだった。 「い、いいよね!可愛いよ!こういうのがあるとわかりやすいし!」 俺、必死すぎる。 対するスクは口元に手を当てて、首をかしげていた。 わからないと言われることがわからない、と言いたげに。 そこへ、バタバタと激しい足音が近付いてきていた。 なんだろう。すごく嫌な予感がする。 「よっすツナー!お?なんだそれ?」 隣のクラスの人気者……キャバッローネの次期ボスが背後から、椅子に座ったままの俺へと抱きついてきた。 「ん?んー…なんだこれ。ツナ、絵へただな…これはちょっとなかなかお目にかかれない代物だぜー。線がよれよれだし、目の位置とかヤバイもん」 俺が教えてやろっか? そう言いながら俺を覗き込もうとしたディーノさんの姿が………一瞬で掻き消えた。 笑顔の残像を残して。 「う゛お゛ぉいヘナチョコぉ…覚悟は出来てんだろうなぁ……」 ……止められない。 あんなすごい…どす黒い笑顔で、廊下まで吹き飛ばされたディーノさんを追い詰めるスクアーロを、俺が止められようはずもない。 その後、必死に美術の教科書とにらめっこするスクアーロの姿が見られたり見られなかったりしたそうな。 スクの絵の腕前が向上したのかどうかは…今はまだ秘密。 これは、意外な弱点とギャップに知らず知らずのうちにキュンときていた俺へと、彼が不意打ちの告白してくる一週間前の出来事だった。 PR この記事にコメントする
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